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あの戦いの“その後”を知りたいなら、この一冊を読め

テレビシリーズ仮面ライダーガッチャード、そしてVシネクスト『GRADUATIONS』のその後――。
小説『University 仮面ライダーガッチャード』は、大学生となった一ノ瀬宝太郎たちが、新たな世界の歪みと向き合う“仮想シーズン2”を描いた意欲作だ。ウロボロス消滅から1年、新地球に飛来した謎の光と生命体HOPE、そしてそれを利用する組織フラクタル。希望を巡る思想的対立は、かつてない深みで宝太郎たちを試す。
本作はアクションだけでなく、成長、選択、責任といったテーマを小説ならではの心理描写で掘り下げる一冊。ガッチャードファン必読の“その後の物語”を、徹底的に解説する。
① 作品概要|小説「University 仮面ライダーガッチャード」とは
小説『University 仮面ライダーガッチャード』は、テレビシリーズ仮面ライダーガッチャードおよびVシネクストの物語を土台に、“仮想シーズン2”として構想された公式感の高い小説作品である。映像作品では描き切れなかった時間の経過や、戦いの後に訪れる静かな変化を丁寧に掘り下げ、大学生となった主人公たちの新たな日常と非日常を交錯させる構成が特徴だ。
本作は単なるスピンオフではなく、「成長」を主題に据えた正統続編的な立ち位置を持つ。ケミー、錬金術、組織抗争といったガッチャードの核となる要素を継承しつつ、小説媒体ならではの内面描写や思想的対立を強化することで、物語の密度を一段引き上げている。ガッチャードを最後まで追いかけたファンにとって、“その後”を知るための必読書といえる。
② 時系列と世界観|GRADUATIONS後“1年後”の新地球
物語の舞台は、仮面ライダーガッチャード GRADUATIONSで描かれた決戦から1年後の世界だ。循環と永遠を司る存在・ウロボロスが消滅したことで、世界は一度リセットされ、「新地球」とも呼ばれる新たな秩序のもとで再構築されている。
しかし、平和は決して完全なものではない。錬金術という力が存在し続ける以上、新たな歪みや異物が世界に流入する余地は残されている。本作冒頭で描かれる“謎の光”の飛来は、その象徴的な出来事だ。世界観は明るさを取り戻しつつも、常に不穏さを孕んだバランスの上に成り立っており、戦後世界特有の「静かな不安」が物語全体に通底している。この時間軸設定により、ヒーローたちの選択はより現実的で重みのあるものとして描かれる。
③ 主人公の成長|大学生・一ノ瀬宝太郎の現在地
高校生だった宝太郎は、本作では大学生として登場する。年齢の変化は単なる肩書きの違いではなく、物事の捉え方や責任感の質にまで影響を与えている。かつては勢いと直感で突き進んでいた宝太郎だが、戦いの記憶と失われたものの重さを知った今、彼の「ガッチャ」はより思慮深く、選択の結果を引き受ける覚悟を伴ったものへと変化している。
それでも彼の根本にある“人と人、存在と存在をつなぐ力を信じる心”は変わらない。大学という新しい環境で広がる人間関係と、再び訪れる非日常の狭間で、宝太郎は自分がヒーローである意味を問い直していく。本章は、仮面ライダーとしてではなく、一人の青年としての宝太郎の現在地を示す重要な導入部となっている。
④ 錬金アカデミーの現在|教師・黒鋼スパナの役割
本作における錬金アカデミーは、かつての「育成機関」から「管理と継承の場」へと性格を変えている。その変化を象徴する存在が、教師となった黒鋼スパナだ。かつては最前線で戦っていた彼が、今は若い錬金術師たちを導く立場に立つことで、物語は“戦う者”と“託す者”の視点を同時に描く。
スパナは理論と実践の双方を重視する現実主義者として描かれ、宝太郎に対しても過度な干渉はしない。その距離感は、かつての師弟関係から一歩進んだ“対等な協力者”としての関係性を感じさせる。アカデミーは安全な場所であると同時に、世界の異変をいち早く察知する監視塔でもあり、スパナの存在がその機能を支えている。
⑤ 新たな脅威|謎の生命体「HOPE」とは何か
物語の核心に関わる新要素が、謎の生命体「HOPE」だ。HOPEは一見すると希望を具現化した存在のように語られるが、その正体は極めて曖昧で、人の願望や欲望に強く反応する性質を持つ。ケミーとは異なる成り立ちを持ち、錬金術による管理や共存が前提とされていない点が最大の危険性となっている。
HOPEの存在は、「希望は誰のものか」「制御された希望は本当に希望なのか」という哲学的な問いを物語にもたらす。宝太郎たちはHOPEを単なる敵として排除すべきか、それとも理解すべき存在として向き合うべきかで葛藤する。この曖昧さこそが、本作を単なるヒーロー小説ではなく、思想的な物語へと押し上げている。
⑥ 敵組織フラクタル|思想型ヴィランとしての魅力
HOPEを裏で流通させる組織「フラクタル」は、本作における最大の対立軸を担う存在だ。彼らは破壊や征服を目的とする従来型の悪ではなく、「希望は商品であり、選ばれるべきもの」という歪んだ合理主義を掲げて行動する。その思想は一部の人々にとって魅力的に映り、結果として社会の分断を加速させていく。
フラクタルの脅威は、力そのものよりも“考え方”にある。宝太郎たち錬金術師は、拳で倒せば終わる相手ではない思想と向き合わされることで、自分たちの正義を言語化する必要に迫られる。本章では、ガッチャードシリーズが一貫して描いてきた「つながり」の価値が、最も鋭く試される構図が提示されている。
⑦ グリオンの影|過去の因縁が物語に与える影響
本作では、直接的に姿を見せずとも、かつての強敵グリオンの存在が物語の随所に影を落としている。彼との戦いは宝太郎たちにとって“勝利”で終わったはずだが、その過程で失ったもの、壊れてしまった価値観は完全には回復していない。
グリオンが体現していた「循環と永遠」という思想は、ウロボロス消滅後の世界においても別の形で再浮上する。HOPEやフラクタルの思想が、どこかグリオンの論理と重なって見える点は示唆的だ。過去の敵は倒したはずなのに、思想だけが形を変えて生き残っている――その現実が、宝太郎たちに“本当の意味での決着とは何か”を問い続ける。
⑧ 小説ならではの魅力|映像では描けない心理描写
『University 仮面ライダーガッチャード』が持つ最大の強みは、小説媒体ならではの心理描写の深さにある。戦闘の合間に挟まれる葛藤、迷い、後悔といった感情が丁寧に言語化されることで、キャラクターの選択一つひとつに説得力が生まれている。
特に宝太郎の内面描写は、テレビシリーズでは表現しきれなかった“考えるヒーロー”としての側面を強調する。敵を倒す前に悩み、救うべきか否かで立ち止まる姿は、成長した大学生ヒーロー像そのものだ。文章によって描かれる戦闘シーンも、派手さより状況認識と心理の動きを重視しており、読み手に強い没入感を与える。
⑨ ファン向け考察|仮想シーズン2としての完成度
本作を“仮想シーズン2”として見た場合、その完成度は非常に高い。既存設定を破壊せず、むしろ余白を埋める形で物語を拡張しているため、テレビシリーズを追ってきたファンほど自然に受け入れられる構成となっている。
また、新要素であるHOPEやフラクタルは、ガッチャード世界観のテーマである「つながり」と「選択」を別角度から掘り下げる役割を果たしている。もし映像化されたとしても違和感のないエピソード構成とテーマ性を備えており、本作は“続編が存在した世界線”をリアルに想像させる一冊だ。ガッチャードという作品の可能性を再確認させてくれる点で、ファン考察向けの読み応えも十分にある。
⑩ 総合評価|どんな人におすすめの一冊か
『University 仮面ライダーガッチャード』は、単なるキャラクター小説ではなく、「成長したヒーローが、変わった世界で何を選ぶのか」を真正面から描いた続編的作品である。そのため、テレビシリーズを最後まで視聴し、宝太郎たちの歩みを見届けてきたファンにとっては、物語の余韻をさらに深めてくれる一冊となる。
特におすすめできるのは、ガッチャードの思想性やテーマ性に惹かれていた読者だ。HOPEやフラクタルを通じて描かれる“希望の扱い方”は、大人向けの読み応えがあり、子ども向け特撮の枠を超えた問いを投げかけてくる。一方で、シリーズ未履修の読者にとっては前提知識が必要な場面も多く、入門書というよりは「ファン向け深化型作品」と言えるだろう。
総じて本作は、ガッチャードという物語を「終わった作品」にせず、読者の中で生き続けさせるための一冊である。宝太郎たちの“その後”を知りたい人、仮面ライダーを思想的に楽しみたい人に強くおすすめできる。

